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花園の墓守 衛編 第四章『由為の返還』

 現実を捉える。 花嬢たちによって彼岸へ帰ってきた衛達を花園で迎えたのは、貴海とファレンだった。「おつかれさま」 屈託なく接されて衛は自分の行いを思い出して密かに恥じた。赤くなることを許さなかったのは手の中にある由為の花だ。伝えなくてはな...
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花園の墓守 衛編 第三章『現実』

 衛は二回目の花盗人が始まる朝に、自室で一人考えていた。 どうしたら花影たちと拮抗できるのか。前回は滅びた彼岸という場に適応できず、花嬢に押さえ込まれて何もできなかった。 まずは滅びた彼岸で行動できるようにならなくてはいけないが、そのため...
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花園の墓守 衛編 第二章『対決は花園にて』

 平穏の日を一日挟んでから、花盗人を決行する日は訪れた。昼食をすませて、勝負の条件に挙げられた花を手にして、屋敷を出る。 彼岸の花園で花影たちと対峙した。 青い花園には衛と弦、七日がそれぞれの得物を持って真っ直ぐに花影を見つめている。 赤...
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花園の墓守 衛編 第一章『花影との再会』

 三階の訓練場で硬い音が響き合った。 衛が木製の剣で受け、七日は槍を突くのではなく両手で握って打ち付けてくる。力は拮抗していたが、七日の一瞬の弛みを見逃さずに衛は押し返す。均衡が崩れて七日は受身をとった。足は開かずに槍も掴んだまま両腕を曲...
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あなたを狙い撃つ魔法の矢はツンデレの証なの

 バレッタで前髪を止めている青年は勢いよく麺をすすった。 いまは冬だ。夏よりも遠い青空と気まぐれに浮かんでいる、カスタードをかけたらとろけてしまいそうな厚みのある雲。陽差しはベンチに座っていると眠気を誘う温かさだ。 冷たいのは北から吹き付...
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クリスマスマーケットにて祝福を

 新婚夫婦の旦那である貴海は、嫁のファレンの部屋をノックして許可をもらうと盛大に扉を開けた。「休日警察だ。ファレン。君を外に連行しにきた」 ラグが敷いてある床にクッションと一緒に座っていたファレンは、不敵な笑みをうかべながらゆっくりと立ち...
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ファレンさんの秘密

 みらいみらいのとあるところに。 貴海とファレンという新婚夫婦がいるのです。 旦那さんである貴海さんはほろ苦いチョコレートのようなお方で。 お嫁さんであるファレンさんは咲き初めの薔薇のようなお方です。 そんな二人は少し先の未来で、仲良く幸...
カードワース

強くなればいいのに

 無音の楽団の宿でソレシカとタトエは留守番をしていた。 カクヤはレクィエと一緒に二人で品出しの依頼に行き、クレズニは新しい仕事を得るための情報収集、サレトナはどこかへと出かけていった。 大抵組むことの多い二人だが、タトエはソレシカに以前か...
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いい夫婦になるまでに

 ノクシスは戸惑っていた。 此岸からやってきた働き者の女性である白姫に、昨日の昼にさらりと言われたのだ。『ねえ。彼岸の管理者さん。あなたと私のあいだに花が咲いたらそれはとても素敵なものになると思うの』 いまだその言葉が頭から離れないまま、...
カードワース

無音の楽団 結成のファンファーレ(一括掲載版)

 カクヤは夜の宿屋で一人昂ぶっていた。 明日はリューンに着く。冒険者にとって始まりであり日常がひしめく街。まだ見ぬ世界と様々な冒険が待ち受けている。 そこで、自分も。 剣の合奏が聞こえた。 かん、たん、かーん。 がん! カクヤの意識は昂奮...
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